A温泉は、観光地でありながら観光バスも素通りする程の殺風景な所。それも鬼巡査と恐れられる望月警部補が、盛り場の巡察に目を光らせているからだ。一寸の怪しいふるまいも一切御法度のやかまし屋とあって、派出所の留置場にぶら込まれる者はあとを絶ない有様。ヌードタオルを売ってパクられたチンピラ森松も、この留置所のしギュラーメンバーの一人。今日も留置場内で、町のチンピラ衆と森松とが望月警部締め出し策をねっていた。旦那衆が鬼巡査を追放した者には、銅像を建ててやろうといった言葉が、大いに気にいったのだ。そこでユーモアに富んだ桃色騒動が、望月と森松の一騎打の型で展開されることになった。しかし、そんな陰謀計画があろうとは、つゆ知らない望月は実直な勤務が認められ、警視庁から表彰状をもらい、その帰途、B温泉でまち受けた森松は、B町の防犯協会員になりすまして、望月を口車に乗せた...