これは、とある場所の小さな小さなレストランの物語。そのレストランの営業時間は決まっていない。そこは人生でたった1度しか訪れることが出来ない。三途の川を渡る前、最後の晩餐をとるためのレストラン。そのレストランでは料理の注文をすることは出来ない。できるのは最後の晩餐の相手を選ぶこと。選べる人の条件は既に亡くなられている方、1人に限るということ。相手が決まれば料理も自然に決まる。そのレストランでは全身黒ずくめのギャルソン、岬が客人を迎え入れ、韓国人のハンが料理でもてなす。レストランに訪れる人達たちの思い出の料理を振舞い、その料理を口に運んだ人達はみな笑顔になり饒舌になる。そして新たな旅路へと向かっていく。一方、岬とハンは記憶の全てを現世に置き忘れてきてしまっていた――。